テニスガットのテンションがプレイに与える影響と調整方法

テニスはさまざまな道具を使うスポーツです。そのうちの1つがガット(ストリング)です。ガットにはさまざまな種類があり、それをどれくらいの強さで張るのかを選ぶことができます。 今回は、ガットをどれくらいの強さで張るべきかについて解説していきます。

テンションとは

テニスにおける「テンション」とは、テニスラケットに使われるガット(ストリング)の張力のことを指します。テニスラケットに張られたストリングは、テニスボールを打ち返す際に弾性力を発揮します。つまり、ラケットに張られたストリングの強さ(テンション)は反発力や打感に影響します。

テンションは一般的にポンド(=P)やキログラム(=kg)という単位で示されます。日本では、ポンドが使用される場合がほとんどです。 また、テンションは人によって30程度〜60程度までさまざまです。この後に、テンションが与える影響やおすすめのテンションについて紹介しますが、迷った場合は、平均的な50P前後で張ると良いでしょう。

高いテンションと低いテンションの違い

テンションは数字が下がるほど緩くなり、上げるほど硬くなります。

高いテンションで張った場合は、ボールの反発が抑えられるというメリットあります。逆に、デメリットとしてはパワーが無いとボールを飛ばしにくいことや打感が硬くなるといったことがあります。 低いテンションで張った場合は、スピンがかけやすくなったり打感が柔らかくなるというメリットがあります。ただ、低く張りすぎると飛びすぎてコントロールがしにくくなってしまうこともあります。

また、上記のメリット・デメリットはガットの種類やプレースタイルによっても変わってくるため、あくまでも目安として捉えてください。

テンションの調整方法

さて、テンションについて説明しましたが、実際にテンションを決めるときはどのようなことを考慮したらいいのかを説明していきます。

適正テンションを参考にする

推奨テンション表示
推奨テンション表示

画像のようにラケットには適正テンションが記載されています。幅が広いため迷うかもしれませんが、適正テンションの真ん中くらいではれば大きく外すことはありません。

ラケットの種類

ラケットの種類によってテンションを調整する方法です。ラケット自体に反発力がある場合は、あえて硬めに張ることで飛びすぎることがなくコントロールしやすい状態を作ることができます。一方で、ラケット自体に反発力がない場合は、緩めのセッティングにすることでボールを飛ばしやすく、パワーのあるボールを打ちやすくできる場合もあります。

季節(気温)

ガットは気温にも影響されます。例えば、夏の気温が高い時期はガットは緩みやすくなります。そのため、最初からその分を考慮してテンションを高めに張る人も多いです。逆に冬は硬く感じやすいため、柔らかめに張ります。このように季節によってテンションを変えることで1年通して同じような打感を味わうことができます。

ストリンガー

最近では、電動の機械でテンションを指定してガットを張ることがほとんどですが、それでも人によって張り上がりは変わってきます。同じ50Pで張りに出しても張り方によって硬くなったり、柔らかくなったりします。そのため、いつも同じ打感をキープしたい場合は、ストリンガーを指名して張り替えに出すのも選択肢の1つです。

女性におすすめのテンション

女性におすすめのテニスガットのテンションについては、一概には言えません。プレースタイル、ラケットの種類、ガットの種類などによっても異なるため、プレイヤーによって異なる設定が必要です。

一般的には、女性の場合は男性に比べて力が弱いため、テンションを高く張るとボールを打ちにくくなることがあります。そのため、女性はテンションを低めに設定することで、ボールを打ちやすく、飛距離も出しやすい状態を作ることができます。一般的には、45〜50P程度の範囲がおすすめとされています。

しかし、上級者やパワフルなプレースタイルの方は、高めのテンションを選ぶこともあります。

ですので、最適なテンションの設定を見つけるには試行錯誤が必要です。 お近くのテニスショップなどで相談してみると、より適した設定が見つかるかもしれません。

男性におすすめのテンション

男性も女性と同様にプレースタイル、ラケットの種類、ガットの種類などによって異なるため、一概には言えません。 ただ、一般的には50P前後がおすすめとされることが多いです。ただし、テンションが高くなりすぎると球離れが悪くなり、打球感も硬くなるため、プレイヤーのレベルや好みに合わせた設定が必要です。

縦・横でテンションを変える?

最近では、縦(メイン)と横(クロス)でテンションを変えている方も多いです。

テンションを変えるメリットは下記です。

  • ラケットの変形を抑えることができる

縦と横でテンションを変える場合、横のテンションを2〜5ポンド下げるのが一般的です。理由としては、横の方が距離が短いためテンションを下げることで縦とのバランスを取ることができ、ラケットの変形を抑えることができるからです。

ガットの張り替え時期

ガットの張り替え時期について説明します。 ガットは大きく4種類に分けることができます。そして、それぞれ「耐久性(切れにくさ)」と「テンション維持率」が異なります。 耐久性(切れにくさ)が低いガットは、ハードヒットしていくことで切れてしまう可能性が高いです。一方で、テンション維持率の低いガットは切れなくても時間の経過によってガットが緩くなってしまいます。

下記は、ガットの種類毎に「耐久性(切れにくさ)」と「テンション維持率」を示した表です。

ガットの種類 張り替え目安 耐久性(切れにくさ) テンション維持
ポリエステル 1ヶ月 o x
マルチフィラメント 3ヶ月 x o
ナノフィラメント 3ヶ月 o
ナチュラ 6ヶ月 x o

必ず、「張り替え目安」の通りに張り替える必要はないですが、良い状態をキープするためにはなるべくこの期間を参考にしてみてください。

プロはどれくらいのテンションで張っている?

プロが実際にどれくらいのテンションで張っているのかをご紹介します。 ただ、プロの場合は試合やラケット毎にテンションを変えているため、あくまでも参考としてご覧ください。

選手名 テンション ガットの種類 ラケットの種類
キリオス 54 Poly Tour Pro EZONE(YONEX)
ルード 54 Poly Tour Spin x Poly Tour Pro EZONE(YONEX)
ナダル 55 Blast Pure Aero(Babolat
ジョコビッチ 59/56 VSチーム x アルパワーラフ Speed(HEAD)
錦織 39/37 Wilson Natural x Element ULTRA TOUR(Wilson)

プロの場合は、毎週環境が大きく変わるのでざっくりとした目安にしかなりませんが、錦織選手は比較的柔らかいテンションで張ることが多いようです。

以上、ガットのテンションについてでした。

他にも記事を更新していきますので、是非ご覧ください!